表示形式の設定によって同じ値の入力でもいろいろな表示を行うことができます。
組み込みの表示形式としてあらかじめいろいろな書式が用意されています。
また、用意された書式では対応できない場合のために表示形式のユーザー設定を行って
目的の表示を独自に設計することができるようになっています。
セルの表示形式の設定は以下の手順で行います。
1 |
セル範囲を選択 |
2 |
書式設定ダイアログの表示
Ctrl+1
(メニュー→)
|
3 |
タブの
リストから目的の表示形式を選択
|
4 |
さらに詳細な設定を行える場合は設定を行い、OK
|
上記の方法で同じ値を表示形式を変えてみると、いろいろな形でセルに表示されることがわかります。
例えば、「10000」と言う値をセルA1:A5へ入力し、表示形式だけを変化させていくと以下のようになります。
| A | B |
1 | 10000 | G/標準 |
2 | \10,000 | 通貨 |
3 | S2.5.18 | 日付 |
4 | 1.E+04 | 指数 |
5 | 10000 | 文字列 |
組み込み表示形式
Excelはさまざまなデータを扱うことができるので、いろいろな表示形式が用意されています。
表示に関して、たいていはあらかじめ用意されている組み込みの表示形式で間に合うはずです。
◆G/標準
セルのデフォルトの書式設定です。
入力された内容によって自動的に表示形式を変化させる場合があります。
それゆえに思わぬ結果が表示される場合もあります。
◆数値
数値を入力する際に使用します。小数値の桁数、桁区切り、負の値のときの形式が設定できます。
◆通貨
数値を入力する際に使用します。小数値の桁数、通貨記号、負の値のときの形式が設定できます。
桁区切りスタイルは固定です。
◆会計
数値を入力する際に使用します。小数値の桁数、通貨記号が設定できます。
桁区切りスタイル、負の値の形式は固定です。
◆日付
日付を表示する際に使用します。
通常はExcelが日付形式で入力されたと判断した場合に自動的に適用されます。
また、計算によって求められた数値としてのシリアル値を日付の形式で表示する際にも使用します。
◆時間
時間を表示する際に使用します。
通常はExcelが時間形式で入力されたと判断した場合に自動的に適用されます。
また、計算によって求められた数値としてのシリアル値を時間の形式で表示する際にも使用します。
◆パーセンテージ
入力した数値を自動的に100倍、%を付加して表示します。
小数点以下の桁数を設定できます。
◆分数
入力した数値を分数形式で表示します。
ただし、整数値の場合はいくらこの形式を指定しても分数表示部分の空白になった整数表示となります。
また、分母より分子の大きい仮分数は整数部分と小数部分とに分けて表示されます。
◆指数
9.36E+02のような指数形式の表示になります。(例では9.36×10の二乗)
◆文字列
入力内容を文字列として扱います。
ExcelはIMEをONにして全角の数値を入力しても普通の数値に変換して半角表示にしてしまうため、
全角の数値入力が必要なときなどに使用します。
◆その他
郵便番号、電話番号(東京)はそれぞれ7桁、10桁の数値を入力したときに郵便番号や
電話番号形式で表示を行います。カッコやハイフォンを使用せずテンキーからの数値入力だけでそれぞれの
形式に表示できるので、データベースの作成に便利です。
正負記号が用意されていますが、入力された数値が正の値なら△、負の値なら▲を数値に付加します。
株価の値動きによく使われている方法です。
▲PAGETOP
書式記号
書式設定の表示形式はセルの情報に「書式記号」を付加することで
セル内容の表示形式を制御しています。
つまり書式記号は表示形式を指示するための一種の命令文だと思ってください。
では書式記号とはどういうものでしょうか。
◆組み込み表示形式の設定を参考してみる
前項の
組み込み表示形式もそれを選択することで書式記号がセルの書式設定に
設定されます。組み込み表示形式がどのような書式記号の組み合わせで設定されているかを確認するには、
以下の手順で表示形式のユーザー定義を選択することで確認できます。
1 |
セル範囲を選択(適当でよい) |
2 |
書式設定ダイアログの表示
Ctrl+1
(メニュー→)
|
3 |
タブの
リストから目的の表示形式を選択
|
4 |
書式設定ダイアログを閉じずに続けてタブの
リストから[ユーザー設定]を選択
|
手順4で[種類]のテキストボックスを見てみると、手順3で選択した表示形式の書式記号が表示されます。
初めて見る方はちんぷんかんぷんかもしれませんが、
表示形式はこのように呪文めいた記号によって決定されているのです。
◆書式記号の種類と意味
数値の書式記号
- #
- 「ゼロサプレス」と呼ばれます。
有効桁数だけが表示されて余分なゼロは表示されません。
- 0 (ゼロ)
- 数値の桁数が指定したゼロの数よりも少ない場合に余分なゼロを表示します。
- ?
- 桁数の異なる複数の小数を揃えて表示する場合に使います。
固定幅フォントで数値の小数点を揃えます。
整数部と小数部の余分なゼロがスペースで表示されます。
- ,(カンマ)
- 1000 単位の区切り記号として表示したり、
数値を 1000 で割って小数部を四捨五入して表示するには、カンマを指定します。
- %
- セルに入力された数値に自動的に 100 を掛けて
パーセント文字を追加した形式で表示します。
文字色の書式記号
- [黒] [青] [水] [緑] [紫] [赤] [白] [黄]
- 表示形式での文字色はこの 8 色が設定できます。
色の名前のいずれかを角かっこ ([ ]) で囲んで入力します。
これらの色指定は書式部分の先頭に指定します。
日付・時間の書式記号
- y
- 西暦年を表す場合に使用します。
yy | 00〜99(西暦年の下二桁を表示) |
yyyy | 1900〜9999(西暦年の四桁を表示) |
- m
- 月を表す場合に使用します。
m | 1〜12 |
mm | 01〜12(二桁表示) |
mmm | January 〜 December(英記表示) |
mmmm | J 〜 D (英記月名の最初の文字) |
- d
- 日を表す場合に使用します。
d | 1 〜 31 |
dd | 01 〜 31(二桁表示) |
ddd | Sun 〜 Sat(英記曜日) |
dddd | Sunday 〜 Saturday (英記曜日) |
- g
- 和暦元号を表示する場合に使用します
g | M、T、S、H(元号アルファベット) |
gg | 明、大、昭、平(元号漢字一文字) |
ggg | 明治、大正、昭和、平成(元号二文字) |
- e
- 和暦年数を表す場合に使用します。元号を使用する場合の年表示は西暦年表示用の「y」を使用しないようにします。
- a
- 漢字で曜日を表示する場合に使用します。
文字列やスペースの書式記号
- "(ダブルクォーテーション)
- ダブルクォーテーションに囲まれている文字を追加表示する
文字列を追加して表示するには、追加する文字列をダブル クォーテーション (" ") で囲んで指定します。
ただし以下の文字列を追加表示する場合は、ダブルクォーテーションを付ける必要はありません。
(つけてもダブルクォーテーションは自動削除されます)
スペース 、$ 、- 、+ 、/ 、( 、) 、: 、\ 、^ 、& 、`(アクセント記号) 、
' (クォーテーション) 、~ 、{ 、} 、= 、< 、 >
- !
- 次に続く一文字を追加表示する
- @(プレースフォルダ)
- セルに入力された文字列の表示位置を指定する
文字列を入力するセルで表示形式によって文字列を追加する場合、入力した文字列を表示する位置を @ 記号で指定します。書式記号として特別に「プレースホルダー」と呼びます。
文字列の書式部分で @ 記号を省略した場合は、入力した文字列は表示されず、
ダブルクォーテーションで囲んだ文字列だけが表示されます。
- _ (下線)
- スペースを追加する
_ (下線) に続いて入力された任意の文字の幅だけ余白を取ります。
下線の次に入力した文字は非表示で、その文字幅のスペースが空くようになります。
正の数の表示と負の数の表示を揃えて表示することを意図して使用したりします。
例えば、「0! ;0"▼"」という書式記号の表示を見てみます。
この場合、「負の数の書式で数値の後に特殊な記号"▼"を追加」しています。「0;0"▼"」としたのでは
正の数値と負の数値で末尾の桁がそろいません。
そこで、正の数値で「0! 」として数値の末尾に「全角スペース」を一字追加していますが、
プロポーショナルフォントの場合、単にスペースを追加したのでは
スペースと記号"▼"とで文字幅に違いがあるので末尾の桁がそろいません。
そこで「0_"▼";0"▼"」というような書き方をします。
正の数が入力されている場合は数値の右側に記号"▼"は表示されませんが、
本来表示されるべき記号"▼"の文字幅分だけ余白を空けて表示されるので、
右側の桁は負の数値のときとそろえて表示することができます。
つまり、フォントの種類にかかわらず表示桁数をそろえることが可能になります。
- *(アスタリスク)
- 次に続く文字をセルが埋まるまで繰り返します。
【追加情報】ヘルプの記載ミスについて
Excelのヘルプの書式記号の説明において記載ミスと判断できる部分があるので追加情報として
ここへ挙げておきます。
以下、「文字列やスペースの書式記号について」の引用です。
文字を追加する 文字列と数値の両方をセルに表示するには、
文字列をダブル クォーテーション (" ") で囲むか、表示形式で円記号 (\) に
続けて 1 文字を指定します。
たとえば、表示形式に $0.00" Surplus";$-0.00" Shortage" を指定すると、
負の値のときに "$-125.74 Shortage" が表示されます。
スペース、$、-、+、/、(、)、:、!、^、&、`(アクセント記号)、
' (クォーテーション) 、~、{、}、=、<、および> を
入力する場合、ダブル クォーテーションを付ける必要はありません。
記載ミスと思われるのは上記引用の反転表示部分です。
なんだか、「!」「\」の機能が逆転してしまっているような感じですが、
これはExcelを日本語版でリリースする際の 仕様変更があったにもかかわらず
ヘルプに反映されなかったためと推測されます。
以下、重箱の隅を突付きたい人のための無駄知識。
- 同じキーコードで違う文字の表示
英語版では「半角\」(日本語ユーザーの言うところのバックスラッシュ)が
「続く1文字を表示」する書式記号に割り当てられているものと推測されます。
「半角\」は仮名キーの「ろ」に当たりますが、IMEオフの状態でこのキーを押しても
「半角\」は入力できず、「\」しか出てきませんが、文字コードはなんと一緒です。
そのため、英文における「半角\」を日本語OSで表示した場合には(フォントにより)
「\」が表示されるという現象が発生します。
ヘルプの翻訳の際に、この表示の差を考慮しないでそのまま記載してしまった。
- 通貨記号の仕様変更
それから、「\」記号は当然日本通貨の記号ですから日本語環境では使用頻度が高い。
書式記号で「\」を「続く1文字を表示」するものとして使用するのは都合が悪かろう、
ということで「!」にその機能を割り当て、「\」は通貨記号として「$」と同じ扱いを
するという仕様の変更があったにもかかわらず、ヘルプではそれが反映されていない。
- ヘルプの訂正がない
加えて、これに気が付いた心あるユーザーが問い合わせをした、或いは訂正を求めたにもかかわらず、
訂正の兆しがない(XL2002)。
ということで、ヘルプにも誤った記載がある、というお話でした。
▲PAGETOP
表示形式のユーザー設定
セルの表示形式はExcelの標準で組み込まれているものが多くありますが、しかし、どうしてもそれらだけでは不充分な場合は発生します。そこで、「表示形式のユーザー定義」と言う機能が用意されています。
◆ユーザー設定の手順
表示形式のユーザー定義を一からやるのは大変なので、組み込みの表示形式を利用して設定するのが簡単です。
1 |
セル範囲を選択 |
2 |
Ctrl+1 (メニュー→)
|
3 |
タブのリストから目的の物に近い表示形式を選択
|
4 |
タブのリストからユーザー定義を選択
|
5 |
テキストボックスの書式記号を編集
|
ここで、のテキストボックスへ
前述の書式記号を駆使してユーザー設定の表示形式を作成します。
組み込み表示形式が実際にやりたいものと「少しだけ違うぞ」というときは、
最も近い組み込み表示形式を選択してからその書式記号をカスタマイズするのが最も近道です。
◆書式記号の記述
書式記号のセクション
書式記号を記述するときにはセミコロン(;)で区切って値による表示形式の詳細な指定ができるようになっています。
セミコロンで区切られた部分を
セクションと呼びます。
このセクションの指定の仕方で表示形式の適用範囲がずいぶんと変わります。
- セクション指定なし
- [正数、負数及びゼロ]
書式記号でセミコロンを使用しない場合です。
一つのセクションだけを指定した場合は、その表示形式がすべての数値に適用されます。
負数の場合は「-」が数値先頭に付加されます。文字列の場合は入力どおりになります。
全ての数値に桁区切りスタイルが適用されます。
- セクション二つ
- [正数及びゼロ];[負数]
二つのセクションだけを指定した場合、最初のセクションは正数とゼロの表示形式になり、二番目のセクションは負数の表示形式になります。
桁区切りスタイルで負数には赤字が適用されます。
- セクション三つ
- (または四つ)
- [正数];[負数];[ゼロ];[文字列]
数値の表示形式は三つまで指定できます。
その場合は正数、負数、ゼロときっぱりと区分されます。
最後の四つ目のセクションは文字列専用となります。
(会計スタイル)ゼロの時には「-」が表示されます。
桁区切り
桁区切り記号の「,」(カンマ)は必ず三桁ごとになります。
例えば、桁区切りを四桁にしようとして
上記のように設定しても、下記のように自動的に変更されてしまいます。
表示された値と実際の値
誤解される方が多いのですが、
注意したいのはのは
セルの値は表示形式によって変換されるわけではない、ということです。
例:
上記の表示形式によってセルに何を入力しても「▲」しか表示されません。
しかし、実際の値が変化してしまうわけではありません。該当のセルをコピーして他のセルを選択し
→
で「値の貼り付け」を実行すると、セルの実際の値が貼り付けられるので確認できます。
数式などでセル参照を行うときには注意が必要です。
前記例の表示形式設定が表1のセルA1に設定してあるとき、
B1に上記のようなセル参照を含む数式を入力しても
▲5とはならず、表2のセルB1のような結果にしかなりません。
(この場合、セルA1の実際の値は「1」であると推測できます)
このように
表示されているものと、セルの実際の値とは別物である、と言うことは覚えておきましょう。
セル参照による書式のコピー
セル参照を含む数式の入力されたセルに参照元のセルの表示形式が採用される場合があります。
値の質が変化しないような数式の場合に自動的に表示形式の変更が行われるようです。
▲PAGETOP