消費税の端数処理

企業会計において、もっとも端数処理を行う機会の多いのが消費税の端数計算です。 消費税計算で発生した端数はどの様に処理すればよいでしょう?
  1. 基本的な考え方
  2. 【注意!】INT関数

  1. 基本的な考え方
  2. ◆消費税の端数処理

    基本的には消費税計算で発生した端数処理は税法上、 四捨五入/切り上げ/切り捨ていずれも許容されています。 かといってその都度処理の仕方が違うのは計算上好ましくありません。 端数処理にどれを適用するかはその企業がどの処理を採用しているかによりますので、 処理方法を統一しておくのが良いでしょう。

    ◆表示形式だけでは?

    四捨五入処理の場合は表示形式の設定で小数点以下の桁数を四捨五入した表示にすることができます。 しかし、それは表示上での処理。計算上の数値と表示されている数値には差が発生します。 具体的には下記のようなケースが考えられます。
    ABC
    1売上消費税(A列×0.05)
    220810
    320410
    420610
    520510
    641←=SUM(B2:B5)

    B2:B5のセルでは書式設定の表示形式で「小数点以下の桁数」を「0」としてあります。 上記B6のセルではB2:B5の消費税額を計算しています。表示されている値の合計は 「40」ですが、実際に合計してみると「41」になってしまいます。 表示上四捨五入されて表示されるので小数点以下の数値がなくなってしまったように 見えますが、実際にはセルの値として残っています。表示上の数値で計算するには
    ツール(T)オプション(O)計算方法のブックオプションで 表示桁数で計算する(P)を設定する方法があります。 この設定はブック全体にこの計算方法が適用されるため、有効桁数に注意を払う必要があります。

    ◆どんな関数を使う?

    四捨五入の場合は前項の表示桁数で計算する(P)の設定が有効かもしれませんが、 切り捨て、切り上げ計算は関数で意図的に端数処理された数値を作ってやる必要があります。 四捨五入計算も「セルに入力されている内容と返っている値をなるべく同一にしておく」という観点から 関数処理で四捨五入計算するのが好ましいと思われます。
    【四捨五入】
    ROUND関数を使用します。端数処理後整数にする必要があるので引数[桁数]には 0 を指定します。
    【切り上げ】
    ROUNDUP関数を使用します。端数処理後整数にする必要があるので引数[桁数]には 0 を指定します。
    【切り捨て】
    ROUNDDOWN関数、TRUNC関数を使用します。端数処理後整数にする必要があるので引数[桁数]には 0 を指定します。

    ▲PAGETOP

  3. 【注意!】INT関数
  4. ◆消費税計算にINT関数を使ってはいけない

    よく、消費税計算の関数として「INT(A1*1.05)」のように紹介されている場合があります。 INT関数は関数自体も文字数が少なく桁数を指定する引数も必要ないため、 入力に便利なように見えるからでしょう。 しかしながら消費税計算にかんしては「INT関数の利用は間違いである」と私は断言します。

    ◆INT関数は「切り捨て」の関数ではない。

    私が「消費税計算にINT関数を使用するのは間違い」とする理由は ◆小数点以下を切り捨て(INT関数)でも述べていますが、 INT関数は われわれが義務教育で学んだ「切り捨て」とは少し違った端数処理をする関数です。 小数部分を文字通り「切り捨て」に(0に近くなるように)するのではなく、 「引数の数値を超えない整数にする」という処理をします。 TRUNC関数やROUNDDOWN関数を使用した時に比べると負の数値を扱う時に返る値が違ってきます。

    ◆INT関数を消費税計算に使用すると・・・

    INT(-0.05)であっても、計算結果は「-1」です。 売上と値引が請求書に記載されることは珍しくないですが、 例えば、INT関数でそれぞれに消費税計算を行っていたりすると、次のような記載が発生しえます。
    ABCD
    1摘要売上消費税INT(B列×0.05)小計
    2××売上101
    3××値引-1-1-2
    4合計-1


    上記は極端な例ですが、このように絶対値が同じ正、負の数値では計算結果の絶対値が等しくなりません。 売上の時は切り捨て、返金や返品処理の場合は切り上げのような働きをしています。 このような請求書が届けられた場合、相手はその計算のあり方をどのように思うでしょうか。
    (値引き金額のほうが増えてしまうのだから、しめしめ、と思うだけかもしれませんが)
    このように正の値の時は切り捨て、負の値の時は切り上げのような働きをしてしまいます。 つまり、計算方法がばらばらのように見えてしまいます。 したがって、企業会計上は計算方式の統一という意味でINT関数の使用は好ましくありません。 消費税計算の端数処理が切り捨ての場合はROUNDDOWN関数(または単に小数点以下切り捨ての場合TRUNC関数) で統一使用するのが妥当と考えます。

    ▲PAGETOP


≪前のページへ    困ったときのお部屋目次へ   次のページへ≫

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送